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201109-01

情報化社会の弊害 -昔は良かった?-

think

こないだ友人と話していて話題に上がった内容でもあるんだけど、最近のメディア(特にTV)が面白くないとか、ヒット曲が出なくなったとか、全般的な“昔が良かった”的な懐古的感情に帰結する現象について自分なりの考察をちょっとマジメに書いてみる。

よく取り沙汰される現在と過去の環境の違い

僕は昔は良かったな~と思うことはあっても、今は今で良いかな~とも思えてます。
そりゃあ景気が悪くて、デフレの影響だの制作単価の下落だの就職が困難だのさらには増税だの周りの取り巻く環境は随分と過酷だし、大変なんだけど、世の中の利便性や満足度を相対的に考えた時、本当に今の時代が悲惨な状況なのかは単純に比較できないと思ったりするからです。

もちろん金銭的な状況もあるでしょうけど、今回はメディアに焦点を当てて考えてみます。

さて、よく“昔が良かった”的な話題が出ることもあるけど、一体どんな違いなのでしょうか?

よく聞く今と昔の例

  • TVが面白くなくなった。昔はもっと視聴率も良いドラマがあったし、バラエティも面白かった。
  • 音楽CDが売れなくなった。良い曲が無くなった。物理的にCDが売れなくて、ダウンロード販売とか別の手段が台頭してきた。

TVが面白くない??

TVが面白くなくなって見なくなった人が多いと聞く。スポンサーの予算とか原因が色々あるように聞くけど、本当にそれだけなのでしょうか?

例えば今と比べて昔は娯楽自体が少なかったので、家での楽しみと言えば“TVを見る楽しみ”が当たり前だったと思う。
一家の団欒の場には間違いなくあっただろうし、TVを通じて知り得た情報が夢や希望、知識に繋がったこともあるだろう。

そんな国民全員がほぼ“標準的な娯楽”として自然に捉えていた時代。TV=面白いと普通に思える時代。
では本当に昔のTVは面白かったのでしょうか?今はネタも尽きて制作費も掛けられずにつまらないものになったのでしょうか?

いや、むしろ今の時代で昔の番組を見ても面白いと思えることは少ないはずでしょう。何か違和感を感じるし、映像の古さを抜きにしても現在で通じるとは思えない。
これはTVは“時代に合ったタイムリーな娯楽”だからこそギャップを感じるのでしょうし、今の時代には今の時代に合ったTV番組が現在放送されているはずです。

時代に合うことが直接“面白い”には結びつかないにしても、単純にTVが面白くなくなったというよりは、他の娯楽が沢山出てきたことによって選択肢が増え、「相対的にTVへの関心が薄まった」ということではないかと思ったりしてます。
そういえば一般的な娯楽の主体がラジオからTVに変移したのも、ラジオが面白くなくなったからではなく、“TVのほうが面白い”からだと思うんですよね。

現代のTV自体の視聴者層も考えると、圧倒的に50代以上と30代以下では違いがあるという現状を踏まえ、50代以上にとってはやはり今でも変わらぬ“娯楽”なのだが、30代以下は他の情報メディアに意識がいっているので、TV自体にあまり興味を示さない。それこそがイコールTVは面白くない、に繋がるのでしょう。

確かにスポンサーからの制作費などは大きく変わっているだろうが、では昔に比べてアイディアが無いかというとそうではなく、むしろテレ東とかの番組は低予算ながらも頑張って面白い企画を実現させていることも多いし、ドラマも金を出せば楽しく有意義なものを作れるかというとそれが全てとは思えず、単純に金を掛けてないからとかにはならないと思う。

昔と今を比べても、面白い良い番組やつまらない番組はどの時代にも存在したはずでしょうね。

音楽はネタ切れ??

CDの販売数がミリオンセラーとかダブルミリオンとか、遥か昔の都市伝説のように感じる位、もうCDは物理的に売れない時代です。

音楽はTVよりも前からラジオで気軽に聴く事ができて歌うこともできる“娯楽”であり、時代と共に一般層がラジオからTVに移ったことで+映像を加えた魅力のある娯楽に昇華した経緯があります。
そのTVと音楽は密接な関係にあって、CFや挿入歌、イメージソングなど、プロモーションという名の“仕込み商法”によって大きく売れ幅が左右されたり、ヒット曲を作り出したりと意図的な側面も強く残ってたりします。売れる曲が何故売れるかと言うと、予め売れるように作られているからだ、と某音楽業界関係者からも聞いたことがある。

必ずしも良い曲が売れるとは限らないが、良い曲が出てこないのはネタ切れだとか売れないのは質が下がったからだとか、そんな意見を小耳に挟むことはあっても、売れるようにプロモーションを行うことは出来るはずなのだ。でも売れるような仕込みをしていても売れない。

これは前述したTVの影響が一番大きいと思うし、音楽を聴くという行為が“娯楽”としての側面を失っていく位、他の選択肢が増えて「音楽を聴くことへの関心・意欲が薄まった」のだと思います。

そしてCDが売れない代わりに音楽(mp3など)をデータとしてダウンロード販売とし、その売上が主流になったと言われることもありますが、実態は思ったほど売れてないという結果。CDとダウンロード販売を合わせてもミリオンなんて稀なのでしょう。
音楽をお金をかけてまで買おうという気持ち自体が沸き辛くなってきているのではないのでしょうか。

結果として絶対的ではなく相対的

上記のTVも音楽も、情報化社会という進化の中でありとあらゆる選択肢が出てきた結果、それら自身の価値が薄まってしまったと僕は解釈しています。
その情報化社会はもちろんインターネットに引き金があるし、それを利用した2次的産物による所も大きいのではないか。

TVも音楽も決して退行したのではなく、時代の変化の中で相対的に数ある娯楽の1つとしての価値になってしまった結果なんじゃないかなーという考えなんですよ。

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